Kimachi stone

Scroll down

来待で採掘され、建築や加工石として使われる石

来待層の分布

来待石が産出される大森-来待層は、東西約10数km、南北2〜3kmに分布しており、豊富な埋蔵量を誇ります。宍道湖南岸の島根県松江市宍道町来待地区は世界でもまれな埋蔵地帯です。

来待石の歴史はこちら
島根県採掘エリアの地図

祖父・父の時代に
掘られた
来待の採掘場

来待石ならではの
特徴をご紹介

Geology

来待石の堆積
来待石は約1400万年前(新第三紀中新世中期)に安山岩質の火山灰と砂サイズの火山砕屑物が海中に堆積して凝固した、凝灰質砂岩です。そのため、サメの歯や貝など当時の生物の化石が産出されます。また加工がし易く石質が均一であるため、古くから様々な場所で使われ、人々の暮らしの中に深く溶け込んでいます。近年ゼオライトが含まれていること、石英成分が少なく酎火性に優れていることなど、科学的・地質的分析がなされ、細工物だけでなく、建材としても再度注目されています。
地質図

Mineral composition

偏光顕微鏡観察

火山ガラスを含む部分
輝石(左)や斜石(右)の結晶
真珠岩状組織をもつ流紋岩片
観察結果
岩片 多量の安山岩片
ゼオライト・粘土鉱物 岩片の隙間を埋める
長石 多い
石英 ほとんど含まない

構成物質は斑状安山岩・無斑晶質安山岩・流紋岩等の多種多様な安山岩片と斜長石・角閃石・黒雲母等の結晶片およびそれらの間を埋める沸石・緑泥石等の基質(マトリックス)からなっています。淘汰は比較的よく、岩片のサイズは径0.5〜1.0mmが多く、最大でも1.5mm程度です。

化学組成

SiO² Al²O³ Fe²O³ CaO MgO K²O Na²O TiO² Total
58.56 18.26 6.23 7.06 3.70 2.09 2.71 0.78 96.31

測定場所/島根県産業技術センター
測定装置/波長分散型蛍光X線分析装置
※蛍光X線定性分析結果からFP法で求めた半定量分析値

鉱物組成から見た特徴

  • 長石分が多い•石英が少ない→非脆性的な軟質さを持っています。
  • 安山岩片を多量に含んでいる→酸化により色調が変化します。
  • 鉱物粒子・岩片の点接触は少ない・平面接触が多い→適度な強度があります。
  • 鉱物粒子・岩片の間を火山ガラスが起源の多量の沸石(ゼオライト)が埋めている。
    →良好な加工性があり、ゼオライトの特性を活かした利用も期待できます。

Stone properties

物性

比重 乾燥密度
(gr/㎥)
吸水率
(%)
空隙率
(%)
2.02〜2.09 1.7 6〜7 26

強度・他

一軸圧縮試験
(Pa)
曲げ強度
(MN/㎡)
弾性係数
(MPa)
圧裂引っ張り強度
(MPa)
超音波速度
(P波速度Km/s)
3151.47 31.53 1.1〜5.4×10³ 1.8〜3.7 1.4〜2.5

安定性

  • 石英粒子を含まず、鉱物粒子・空隙は均一、亀裂はないため、均質で安定性に優れています。
  • 凍害に強く、白華現象は起こしません。
  • 耐熱性・耐火性にすぐれています。

遠赤外線

遠赤外線は、表面だけでなく内部から大変効率良く熱を伝えることができるため、暖房や温熱効果、食品加熱など、様々な方面で利用されています。

遠赤外線表

遠赤外線効果

来待石は非常に高い遠赤外線放射率を示し、耐熱性もあるため、様々な用途が期待できます。

放射率表
放射率表

測定場所/島根県産業技術センター 
測定装置/フーリエ変換赤外分光光度計(日本電子JIR-WINSPEC100)

ゼオライト

来待石には約30%のゼオライトが含まれており、土壌や水中、気中のホルムアルデヒドやアンモニアを吸着します。鉄分も6%ほど含まれているため、脱臭効果、水質浄化機能、保肥力が期待できます。

陽イオン交換能

品名 来待石 天然ゼオライト
陽イオン交換能
(meq/100g)
90 140

ホルムアルデヒド及びアンモニアのガス吸着試験

ホルムアルデヒド及びアンモニアのガス吸着試験表

測定場所/島根県産業技術センター

試験方法/試料(約10cm×10cm×1cm)の表面以外の面をアルミテープで覆い、容量10Lのフッ素樹脂製バックに入れ、密閉、脱気後、濃度9.5ppmのホルムアルデヒドガスあるいは濃度10ppmのアンモニアガスを注入し、濃度変化を北川式検知管により測定した。

Color and shape changes

色の変化

切り出してすぐのころ

数ヶ月後

来待石は採石時には青みを帯びた色合いをしていますが、徐々に趣のある色合いに変化します。

加工による表面の違い

切削
ビシャン加工
割れ肌
注意事項
  • 石材は自然の産物であるため、写真の色調・模様等が現物とは多少異なる場合があることをご了承ください。
  • サンプルは有償となる場合がありますのでご了承ください。
  • 来待石の特性や表面仕上げの状態により、使用箇所には制限があります。安全にご使用いただくために適正な用途区分を厳守してください。
  • 来待石は軟石の部類に属し比較的軟らかい材質ですので、予めご理解いただき、使用場所の選定にはご注意ください。
  • 吸水性がありますので、シミ・汚れの付着には十分ご注意ください。
  • 凝灰岩•砂岩等堆積岩特有の性質として、軒下等雨水飛沫のかかる場所、下面や裏面から常時水が供給され表面が生乾きの状態になる場所、潮風があたる場所、塩分濃度の高い水がかかるような場所では、風化の進行が速い傾向があります。
  • 適材適所で来待石を使用していただけるよう、特性をよく理解した経験豊富な職人が相談に乗りますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

Production results

Contact